はじめに
製造現場において検査工程の自動化はニーズが常にあります。
昔は画像検査装置を内製で作るのは非常に敷居が高かったですが
- PCやカメラの値段が安くなった
- 初心者でも身に着けやすいプログラミング言語pythonの存在
- ディープラーニングにより画像処理の専門知識がなくても検査プログラムを作れる
- ディープラーニングをpythonで誰でも作れる環境が整っている
- 誰でも扱えるPLCの存在
以上の理由から自分の手で簡単に格安で作ることができます。
記事の対象の方
- pythonの基礎を身に着けている方
- 製造業の方で数万程度の予算を出せる方(個人でやるには高額になってしまいます)
画像検査装置に必要な機器構成・技術
画像検査において基本的な機器構成は以下のようになります。
想定としては検査対象を搬送装置で搬送し、センサーで撮像トリガーを検知し、カメラで撮像したものをPCで判定するというものとなります。
ここでPLCとはプログラマブルロジックコントローラというものでセンサーやモーターを制御するのに特化した制御機器です。
PCでセンサーやモーターを制御する方法もありますが、日本ではPLCの方が普及していますのでPLCでやるのをお勧めします。
この機器構成で画像検査するための流れとしては
- 検査対象の移動
- 検査対象の有り無し検知
- PLCからPCへの撮影開始指示
- カメラによる画像撮影
- 撮像した画像に対するPCによる判定
- PCからPLCへの判定完了指示
- 1に戻る
といったようになります。
この動作を実現するために大きく2つの機器が必要になります。
- 撮像・画像判定する機器→格安USBカメラ+格安ミニPC(ラズパイ)で実現可能
- 撮像タイミングや撮像対象を動かすセンサー・モーターを制御する機器→簡易PLCで実現可能
それは以上のような機器で実現可能となります。
この2つの機器の扱いの基礎を学んでいくことで、様々なケースの画像検査装置をつくるようになることができます。
具体的な実現方法
これからの解説は以下のような画像検査装置を作ることを想定しています。
先ほどの図より搬送装置やセンサーがない、よりシンプルな構成です。
手で検査装置をセットして、ボタンを押すことでカメラによる撮影とAI判定を行う装置です。
判定は任意の物体(例:2種類のネジ)を見分けるAIを作ります。
シンプルな構成ですが、画像検査装置を作る肝を学ぶことができると思います。
解説通りにやっていけば、あとは搬送機能を付けたり、センサーを付けたり・・・というのは自分で考えながらできるようになっていると思います。
またここでPCとPLCに以下のような機器の解説と利点を説明します。
PC・・・ラズパイ
- 格安のシングルボードPCでAIモデルを動作させるためのライブラリにも対応
- ネットにも情報が豊富
PLC・・・SiO
- 誰でも簡単にPLC回路が作れる格安の機器でセンサーやモーターなどの機器も豊富に用意されている
- 通常のPLCは24Vで動作するものが多いが、100V電源で動くためコンセントにつなぐだけ使える
また、金額の概算としては以下のようになっています。
おおよそ30000円で簡易検査装置を作ることができます。
機器 | 型式 | 概算金額 |
ラズパイ | Raspberry Pi 4 Model B | 8000円 |
ラズパイ | SDカード | 5000円 |
SiOt | SiO t | 12000円 |
カメラ案1 | Raspberry Pi Camera V2 | 6000円 |
カメラ案2 | USBカメラ | 5000円 |
LANケーブル | 適当に用意 | 1000円 |
合計 | 32000円 |
注意点ですが、この機器とは別にAIモデルを作成したり、PLCに設定を書き込むためのPCが必要となってきます。
特殊なPCでなくても普通のノートパソコンであれば十分です。
この機器を使って以下の順番で一週間で作成していきます
- 0日目 必要な機器 ← 本記事
- 1日目 必要な技術の解説
- 2日目 環境構築(学習用PC,SiOt,ラズパイ)
- 3日目 SiOtの使い方
- 4日目 ラズパイ・pythonの基礎
- 5日目 ラズパイとSiOtの接続+撮像プログラム作成
- 6日目 学習・モデル変換
- 7日目 ラズパイへの組み込みと判定プログラム作成
今回の解説では自分で画像データを撮影する部分も組み込まれていますので、何か題材となるものがあれば是非試してみてください。
最後に
この記事を読んで興味を持った方はぜひ実際に解説を読んで作ってみましょう。
まだ解説記事はありませんが、随時更新していく予定です。
よろしくお願いします。
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